私たちの生活に必要不可欠な存在となったインターネット。
しかし光回線の手続きは面倒なものです。
できれば面倒な手続きは最小限に抑えたいと考えるかたもいるでしょう。
そこで、賃貸マンションを探すときは、物件が高速インターネットに対応しているかどうかが重要なポイントとなります。
快適な速度のインターネットといえば「光回線」が挙げられますが、光回線を賃貸マンションで使うためには「光ファイバー対応」の賃貸物件を選ばなければなりません。
賃貸物件の中には「光ファイバー完備」と書かれている場合もありますが、対応と完備では意味合いがまったく異なるので、なにも調べずに適当に選んでしまうのは非常に危険です。
そこで本記事では、光ファイバー対応の賃貸マンションの選び方や、光ファイバー対応物件を選ぶメリット・デメリットについて解説していきます。
光ファイバー対応の賃貸物件ってどういう事?
光ファイバー対応の賃貸物件とは、その物件の共用部分まではすでに光ファイバーが引き込まれている状態を表しています。
一般的な光回線は、電柱に設置された「回線網終端装置」から賃貸物件の共用部分まで光ファイバーケーブルを引き込む工事(宅外工事)を行います。
その後、共用部分の光ファイバーケーブルを様々な配線方式で各部屋まで引き込む宅内工事を行って、そこでようやく光回線が使えるようになるという仕組みです。
つまり、光ファイバー対応と書かれた賃貸物件は、宅内工事を行えばすぐにインターネットが使える状態にある物件のことを指します。
賃貸契約が済んだあとは、自分の好きなプロバイダから光回線の申し込みを行うだけでOKです。
申し込み後はプロバイダが工事業者を手配してくれますし、工事日は自分で選べる場合がほとんどなので、申し込みをすること以外には特になにもする必要はありません。
すぐにインターネットが利用できる?
光回線を申し込んでからインターネットが使えるようになるまで、およそ2週間〜1か月程度の時間がかかります。
プロバイダ側で工事業者の手配をしてくれますが、工事業者はプロバイダの自社スタッフではなく、あくまで委託先を手配する流れとなっています。
そのため、依頼を受けた工事業者のスケジュールによっては、実際にインターネットが使えるようになるまで2〜3か月程度かかるケースもあります。
賃貸マンションへの引っ越し日が決まったら、速やかにプロバイダへ光回線の申し込みを行うようにしましょう。
光ファイバー「対応」と「完備」は何が違う?
賃貸物件の中には「光ファイバー完備」と書かれている場合があります。
これは、すでに各部屋まで光ファイバーケーブルが引き込まれている状態を表し、引っ越し当日からインターネットが使えるようになっています。
- 光ファイバー対応と完備の違い
- 光ファイバー対応:物件の共用部分まで光ファイバーが引き込まれている状態
- 光ファイバー完備:各部屋まで光ファイバーが引き込まれている状態
光ファイバー完備の場合、部屋の壁面にLANポートが設置されていたり、ONUやWi-Fiルーターが部屋内に設置されていたりなど、物件によってインターネットへの接続方法は様々です。
インターネットの利用料に関しては、家賃に最初から含まれている場合と、家賃とは別に請求される場合の2パターンがあります。
通信費が家賃に含まれている場合は、以下の料金が含まれていることがあり、地域の相場よりも高めの家賃に設定されていることもあるので注意しましょう。
- 光回線の利用料
- 工事費用
光ファイバー対応物件の2つのメリット
光ファイバー対応物件を選んだ場合、以下の2つのメリットがあります。
光ファイバー対応物件を選ぶ2つのメリット
- 工事の手間が少ない
- プロバイダを選んで契約が可能
数自体は少ないですが、どちらのメリットも光回線を申し込むにあたって非常に魅力的なポイントなので、しっかりと確認しておきましょう。
1.工事の手間が少ない
光ファイバー対応物件を選ぶ場合、工事の手間が少なくて済むことが最大の特徴です。
通常、光回線に申し込むと開通工事への立ち会いを必要としますが、光ファイバー導入済みの物件であれば立ち会いが不要になるケースが多々あります。
開通工事自体は1〜2時間程度で終わりますが、学生や会社員だと開通工事の立ち会いのせいでせっかくの休日が潰れてしまうことも考えられます。
ですが、すでに共用部分までの宅外工事が完了している光ファイバー対応物件なら、開通工事の立ち会い不要でインターネットが使えるようになることがメリットです。
また、通常は20,000円程度の工事費用を必要としますが、開通工事が不要な場合は2,000円程度の出費で済むのも魅力的なポイントです。
賃貸マンションを選ぶ際は、内見の折に担当者へ光ファイバー対応物件であるかの確認をするようにしましょう。
2.プロバイダを選んで契約が可能
光ファイバー対応物件は、自分でプロバイダ(事業者)を選んで契約が可能です。
従来のインターネットは回線事業者とプロバイダの2社と契約が必要でした。
しかし昨今登場した「光コラボレーション」では、プロバイダ1社と契約するだけでインターネットが使えます。
各プロバイダでは、新規契約者向けのお得なキャンペーンを行っていることが多いので、プロバイダを自由に選んで契約できるのは非常に大きなメリットといえます。
ちなみに、光回線を販売するプロバイダでは一般的に以下のようなキャンペーンを行っていることが多いです。
光回線で行われていることが多いキャンペーン
- 現金キャッシュバック
- 開通工事費無料キャンペーン
- スマホセット割
- 他社違約金負担キャンペーン
上記のように様々なキャンペーンが行われているので、自分にとって恩恵が大きいプロバイダを選ぶことで、お得な内容でインターネットを使い始めることができます。
光ファイバー対応物件の3つのデメリット
インターネットを使う上で非常に魅力的なメリットのある光ファイバー対応物件。
ですが、その一方で以下のようなデメリットもあります。
光ファイバー対応物件を選ぶ3つのデメリット
- 回線工事ができないマンションもある
- 工事期間が長くなる可能性がある
- 高速通信ができないこともある
メリットを確認したついでに、これらのデメリットについてもあわせて確認しておきましょう。
1.回線工事ができないマンションもある
賃貸物件の共用部分に引き込まれた光ファイバーは、壁面の内側などに通してある配管や壁面に設置されたダクトを通して各部屋まで引き込まれます。
ですが、賃貸物件は不動産会社の商品または大家の資産なので、宅内工事を行うためには不動産会社や大家からの許可を得なければなりません。
工事をすることに寛容な大家が多いのですが、一部ではいくら簡単な内容であっても開通工事の許可が得られないケースも少なからずあります。
また、賃貸物件の構造上、物理的に開通工事が行えない場合もあるので、賃貸マンションを契約する前にインターネットの利用について相談しておくことが大切です。
2.工事期間が長くなる可能性がある
プロバイダに光回線の申し込みを行うと、プロバイダ側で工事業者を手配してくれます。
ただし、工事業者はあくまでプロバイダの委託先であり、まったくの別会社です。
工事業者はプロバイダからの依頼だけを受けている訳ではないため、工事業者のスケジュールによっては開通工事が何か月も先延ばしになってしまう場合があります。
また、引っ越しが増える1〜3月では、各インターネット回線の申し込み件数が一気に増加します。
工事業者の数や人員には限りがあるので、申し込みが殺到することでも工事期間が長くなってしまう可能性があります。
そのため、引っ越しの時期が決まったら早急にプロバイダへ光回線の申し込みを行い、開通工事のスケジュールを確約させてしまうことが重要です。
3.高速通信ができないこともある
引っ越す予定の賃貸マンションによっては、光回線に申し込んでも高速通信ができないことがあります。
その理由は、賃貸マンションでインターネットを使う場合、その物件で採用されている「配線方式」によって速度が大きく異なるためです。
配線方式とは、賃貸物件の共用部分から各部屋まで光ファイバーケーブルを引き込む際の通路のことを表し、主に以下の3種類があります。
光ファイバーの配線方式
- VDSL方式:電話回線を併用した配線方式で、通信速度が3つの中で最も遅い
- LAN配線方式:LANケーブルで配線する方式で、最大速度は100Mbps程度
- 光配線方式:3つの配線方式の中で最も速度が速く、築年数が浅いマンションで採用されていることが多い
たとえ光回線の最大速度が1Gbpsや2Gbpsだとしても、賃貸マンションの配線方式(通路)の最大速度が遅ければ、その分インターネットの通信速度は遅くなってしまいます。
また、基本的に賃貸マンションに引き込まれた光ファイバーは、その物件に住んでいる人全員で共有して使うこととなります。
たとえば、最大速度が1Gbpsの光回線を契約したとしても、その物件内で8契約ある場合は1Gbps(1,000Mbps)÷8戸=125Mbps程度しか使えないということです。
そのため、賃貸物件で光回線を利用する場合、想像よりも速度が遅いことがあることを覚えておきましょう。
インターネット環境を確認しよう
賃貸物件において快適な速度でインターネットを使うためには、事前にインターネット環境を確認しておくことが重要です。
ここでは、賃貸契約をする前に該当物件のインターネット環境を確認する方法をご紹介します。
マンションのインターネット速度を事前に確認する
賃貸マンションのインターネット速度は、物件の配線方式の影響を強く受けます。
光回線では料金プランによって最大速度が異なるケースが多いので、その物件で申し込める料金プランを調べれば大まかな通信速度がわかります。
該当物件で申し込める料金プランは、光回線のエリア検索ページから調べることが可能です。
たとえばフレッツ光の場合、エリア検索ページに住所を入力していくとその物件で申し込める料金プランが出てくるので、そのプランの最大速度を調べることで配線方式を判別可能です。
フレッツ光のエリア検索ページ
- NTT東日本エリア:https://flets.com/app2/cao/index/index/
- NTT西日本エリア:https://flets-w.com/cart/?etc_data_kks=kantan%3D1%40
フレッツ光(東日本エリア)の料金プランと最大速度
- フレッツ光ネクスト ギガマンション・スマートタイプ:最大1Gbps
- フレッツ光ネクスト マンション・ギガラインタイプ:最大1Gbps
- フレッツ光ネクスト マンション・ハイスピードタイプ:最大200Mbps
- フレッツ光ライト マンションタイプ:最大100Mbps
このように、エリア検索で判明した料金プランの最大速度を調べることでおおよその回線速度が判別できます。
少し手間はかかりますが、引っ越した後で快適な速度のインターネットを使うために必要なことなので、しっかりと確認した上で賃貸契約をするように心がけましょう。
通信速度が遅い物件だった場合は許可を取った上で個別契約も検討しよう
引っ越す予定の賃貸マンションが通信速度の遅い物件だった場合、不動産会社や大家に許可を取った上で、光回線を個別契約することも検討してみてください。
上述のとおり、賃貸物件で光回線を利用する場合は共用部分に引き込んだ光ファイバーを契約者全員で共有して使うことになるため、どうしても通信速度が遅くなりがちです。
ですが、個別契約=新たな回線設備の導入ができれば、引き込んだ光ファイバーを自分1人だけで使えるようになるので、光回線の最大速度を余すことなく利用できるようになります。
ただし、個別契約の場合は、たとえマンションに住んでいても光回線の「戸建てタイプ」の料金プランを契約することになります。
戸建てプランの月額料金は、一般的にマンションタイプの月額料金よりも高めに設定されているので、毎月の通信費は高額になる恐れがあります。
それに加え、退去時には原状回復をするために撤去工事が必要となるケースも多く、それとは別に物件の修繕費用が請求される可能性も考えられます。
どうしても通信速度が気になる人は、上記の注意点をしっかりと理解して不動産会社や大家から許可を取った上で戸建てプランへの申し込みを検討されてみてはいかがでしょうか。
許可が得られなかった時の代替案
不動産会社や大家から工事の許可が得られなかった場合、開通工事を行わないサービスへの申し込みを検討してみましょう。
開通工事が不要でインターネットが使えるサービスは以下のとおりです。
開通工事が不要でインターネットが使えるサービス
- ホームルーター:WiMAX2+、ソフトバンクエアー
- モバイルルーター:WiMAX2+、クラウドSIM対応のポケットWiFiなど
これらのサービスは1日または3日あたりの容量制限がありますが、開通工事を行わなくて済むことがメリットです。
1か月で100GBほど使うような人には向いていませんが、そこまで動画を見たりゲームをしたりしない人にとっては十分使えるサービスです。
引っ越す予定の賃貸物件で通信速度が遅かった場合、ぜひこれらのサービスへの申し込みも検討してみてください。
まとめ
本記事では、光ファイバー対応の賃貸マンションの選び方や、対応物件を選んだときのメリット・デメリットについて解説してきました。
光ファイバー対応の賃貸物件は、共用部分に光ファイバーケーブルが引き込まれているので、自分の部屋まで光ファイバーを引き込む宅内工事を行えばすぐにインターネットが使えるようになります。
プロバイダに光回線の申し込みを行えば、プロバイダ側で自動的に工事業者を手配してくれるので自分で業者を探す必要はありません。
一般的には2週間〜1か月程度でインターネットが使えるようになるので、光ファイバー対応の賃貸物件への引っ越しが決まった場合は速やかに光回線への申し込みを行いましょう。