ルーターを追加したあと通信状態が悪くなったのなら、二重ルーターの可能性があります。
結論を先にいうと、二重ルーターの環境下で使い続けるのはおすすめしません。
回線のパフォーマンスを発揮できないうえに、余分なコストもかかってしまうからです。
そうした問題を解消するため、二重ルーターの確認方法や原因、解消法やデメリットまで徹底的にご紹介します。
そもそも二重ルーターとは?
「多段ルーター」や「ダブルルーター」などとも呼ばれますが、これは「ルーター機能のある機器を、2台以上設置している状態」のことを指します。
「回線業者からレンタルしているONU」と、「自分で用意したWi-Fiルーター」のどちらも接続しているような場合は、二重ルーターになりやすいです。
ONUは「光回線終端装置(回線接続機器)」のことで、光回線の通信の処理で用いられる「光信号」を「デジタル信号」へと変換する役割があります。
特に機能をもたないONUは、有線LAN接続でしか使えません。
無線でスマホやパソコンを利用するなら、別途ルーターを用意する必要があります。
しかし、ONUの中にはルーターの機能が搭載された機器も存在します。
ユーザーが、ルーター機能付きONUであることを知らずにルーターをもう1台設置することで、意図せず「二重ルーター」になってしまうケースもあるのです。
次に、二重ルーター状態になってしまう原因もご紹介します。
二重ルーターになってしまう原因
二重ルーターになる原因は、以下のとおりです。
- 光電話に未加入でもONUにルーター機能が内蔵されていた
- 集合住宅で共有インターネットを利用している
下記から、詳しく説明していきます。
原因①:光電話に未加入でもONUにルーターが内蔵されていた
多くの光回線事業者は、光電話の加入でルーター機能の付いたONUがレンタルされます。
しかし、NURO光やauひかりといった一部の回線業者においては、光電話を契約しなくてもONUにルーター機能が備わっているのです。
「光電話を契約していないので、ルーター機能は備わっていないだろう」との誤認からルーターを追加してしまうと、二重ルーターになってしまいます。
回線業者からONUをレンタルするときは、ルーター機能が搭載されているか確認しておいた方が良いでしょう。
原因②:集合住宅で共有インターネットを利用している
お住まいの集合住宅にネットが完備されている場合、すでにルーターが存在するからです。
ネット完備のアパートやマンションには、壁にLANの差込口が取り付けられています。
その差込口に、ルーター機能を有効にした状態のルーターを接続してしまうと、二重ルーターになってしまうのです。
上記のようなケースでは、集合住宅全体のネット接続に支障をきたしてしまいます。
管理会社からは、事前に注意喚起されていることもあります。
完備されたネット環境にルーターを接続するなら、無線ルーター機能を切っておきましょう。
次は、二重ルーターを確認するための方法と手順をOS別にご紹介します。
【端末・OS別】二重ルーターを確認する方法
二重ルーターの解消法を、以下の端末・OS別に説明します。
- PC(Windows)
- PC(Mac)
- スマートフォン(iOS、Android)
下記から、順にみていきましょう。
Windowsで二重ルーターを確認する方法
以下は、Windowsで二重ルーターを確認するための手順です。
- PCの検索ボックスに「cmd」と入力する
- コマンドプロンプトが表示されたら「開く」を選択
- 「Tracert -d 8.8.8.8」と入力して「enter」を押す
- 経路が表示されるのを待つ
- ローカルIPアドレスを確認する
検索ボックスは、PCデスクトップの左下にあります。
「192.168.〇.〇」というローカルIPアドレスが2つ以上あった場合は、「二重ルーター」の状態です。
Macで二重ルーターを確認する方法
続いて、Macで二重ルータを確認するための手順です。
- Spotlight検索に「ターミナル」と入力、ターミナルを開く
- ボックスに「traceroute www.example.com」と入力
- IPアドレスの欄を確認する
Spotlight検索は、デスクトップのメニューバー右上隅にある「虫眼鏡のマーク」をクリック、もしくは「commandキー+スペースバー」で利用できます。
IPアドレス欄の確認はWindowsと同じで、IPアドレスが2つ記載されていれば二重ルーターになっています。
スマホで二重ルーターを確認する方法
最後に、スマホで二重ルーターを確認するための手順です。
- スマホアプリの「Fing(フィング)」をダウンロードする
- 「Fing」を開く
- 「Traceroute」をタップする
- IPアドレスを確認する
Fingの利用には、利用規約の確認や位置情報などが必要です。
パソコン同様に、IPアドレスが2つ以上あれば二重ルーターの状態です。
なお、FingはiOS・Androidのどちらにも対応しています。
- iOS版Fing
- Android版Fing
次に、二重ルーターの状態で使い続けることは可能なのか、使い続けるのはどんなケースなのかを説明します。
二重ルーターのまま使い続けることは可能
以下の目的から、二重ルーター状態で使い続けるケースもあります。
- 接続可能な端末の数を増やす
- Wi-Fiの電波を届きやすくする
単純にルーターを増やせばLAN端子も増えるので、接続できる端末は多くなります。
2台目のルーターを中継器として使用すれば、Wi-Fiの電波を遠くまで飛ばすことも可能です。
しかし、二重ルーターによるデメリットの方が多いことから、基本的には解消することをおすすめします。
では、二重ルーターにはどのようなデメリットがあるのか、次で詳しく解説します。
二重ルーターによる3つのデメリット
二重ルーターによるデメリットは、以下のとおりです。
- 通信速度が遅くなる
- インターネットに接続できなくなる
- ファイルの共有が複雑化する
下記から、詳細をみていきましょう。
デメリット①:通信速度が遅くなる
単純に、ルーターを2つ通過するからです。
場合によっては、通信が途切れたり不安定になったりすることもあります。
そもそも、メールの送受信や動画の視聴といったインターネット接続時は、端末とネットワークの間でデータを送受信して通信を可能にしています。
そして、通信が行われる際には複数の経路から最適なものを選択しているのです。
この作業を「ルーティング」と呼び、ルーターごとに行われます。
二重ルーター状態なら、ルーティングが2回行われることになります。
以上の理由から、ルーター1台よりも二重ルーターの方が通信速度は遅くなるのです。
デメリット②:自宅内へのアクセスがインターネット側からは困難
インターネット側からみるとONUがあるために、2台目のルーターへはアクセスできないからです。
新しくルーターを追加するとプロバイダに接続するための初期設定が必要ですが、問題があると自宅内へのアクセスができなくなります。
具体的には、外出先からウェブカメラの確認をしたり、録画したDVDレコーダーをネット視聴したりすることができないのです。
二重ルーターでも自宅内へのアクセスは可能なのですが、設定が難しくなってしまいます。
デメリット③:ファイルの共有が複雑化する
ルーターに接続した状態では、ONUは別のLANになってしまうからです。
ONUにPCやプリンターを有線で接続するような場合は、ルーターに接続しているスマホやタブレットとの共有や通信は複雑になってしまいます。
Wi-Fi接続した端末からONUの設定を行うには、ONUのLANポートに直接接続するしかありません。
では、二重ルーターを解消するにはどうすればいいのか、詳しい方法を次でご紹介します。
二重ルーターを解消する3つの方法
二重ルーターを解消する主な方法は、以下の3つです。
- 2台目のルーターを取り外す
- 一方のルーターをオフにする
- 高性能ルーターに交換する
下記から順番に確認していきましょう。
解消法①:2台目のルーターを取り外す
ONUのルーター機能だけで問題がない場合は、2台目のルーターを取り外すことで二重ルーターは解消されます。
同機器のルーター機能に不満があるなら、2台目のルーターのモードを切り替えることでも対応可能です。
最近のルーターには、「ブリッジモード」や「アクセスポイント(AP)モード」が搭載されています。
これらの機能に切り替えることで「Wi-Fi接続機能」や「有線LAN」だけが使えるようになり、二重ルーターの原因である「ルーター機能」は切れるのです。
ルーターの取り外しやモードの切り替えは、状況に応じて使い分けると良いでしょう。
注意:ONUのルーターは切らない方が無難
ONUのルーターを切ることで、回線接続業者によるサービスが利用できなくこともあるからです。
よくある事例のひとつに、「ひかり電話」があります。
NTT東西が提供しているサービスですが、「ホームゲートウェイ」と呼ばれるレンタルの回線接続機器を止めてしまうことで電話が使えなくなるのです。
また、回線業者が指定するルーターでもあるので、後で追加したルーターでは十分なパフォーマンスが発揮できない恐れもあります。
上記の理由により、ONUのルーター機能ではなく追加したルーターを切るようにしましょう。
解消法②:Wi-Fi接続機能を停止する
Wi-Fi同士の干渉が起きているなら、どちらかのWi-Fi接続機能を停止させましょう。
ONUとルーターの両方からWi-Fiが発信されているなら、電波干渉が起きています。
Wi-Fi接続機能による電波干渉は、以下のような原因で発生します。
- ONUにWi-Fiオプションを付帯している
- ONUにWi-Fi機能が備わっている
Wi-Fiオプションを追加しているなら、料金の節約からオプションの解約をおすすめします。
最初からWi-Fi接続機能が備わっている場合は、ブラウザで変更できる設定ツールによりWi-Fiの発信を切ることが可能です。
ONUのWi-Fi接続機能に不満がないなら、後付けのルーターを外しましょう。
対処法③:高性能ルーターに交換する
Wi-Fiの接続台数を増やしたいなら、高性能なルーターの購入をおすすめします。
高性能なルーターのWi-Fi接続機能なら、より多くの端末をWi-Fi接続できるからです。
ルーター複数台による電波干渉は通信状態を不安定にさせてしまいますが、高性能ルーター1台に限定することで電波干渉も防げます。
ONUの性能が低いなら、ONUのWi-Fi接続機能を切って高性能ルーターの同機能だけを使います。
高性能ルーター1台に限定することで、Wi-Fiの接続台数を増やしつつ電波干渉も避けられるのです。
ルーターの接続先を変更する方法もある
2台目のルーターを「Wi-Fi中継器」として利用したいなら、接続先の変更をおすすめします。
たとえ二重ルーター状態でも、電波の干渉を防げるからです。
最近のルーターには「5GHz」と「2.4GHz」、2つの異なる周波数帯が用意されています。
「1台目を2.4GHz、2台目を5GHz」といったように、ルーター2台を「異なる周波数帯」にすれば電波の干渉を避けられます。
ただし、2.4GHzは電子レンジなどの家電と同じ周波数帯です。
別ルーターの電波と家電の電波、どちらも干渉しないような設定や配置が理想です。
たとえば、家電の多いリビングに設置したルーターは5GHzにして、家電の少ない廊下にあるルーターは2.4GHzにすると、どちらの干渉も避けられます。
「電波の範囲を狭めず干渉も避けたい」なら、こちらの方法が有効です。
まとめ
二重ルーターの大きな要因は、ONUにルーター機能が備わっていることを知らずに別途ルーターを用意してしまうことです。
ONUのレンタル時は光電話を契約していなくても、まずはルーター機能の有無を確認しましょう。
ルーターを新しく購入するなら余計なコストがかかりますし、回線のパフォーマンスを十分に引き出すこともできなくなるからです。
できるだけ二重ルーター状態を避けて、快適な通信環境を整えましょう。